どうもSUYです。
今回は、東北地方に外灯周りの採集をしましたので、採集記録として残したいと思います。

遠征版採集目標

ミヤマクワガタ→70mm
ノコギリクワガタ→70mm
コクワガタ→50mm
アカアシクワガタ→50mm
スジクワガタ→37mm
ヒメオオクワガタ→50mm
オオクワガタ
→ペアでの採集(一先ず採集は困難と思われるので♂のサイズは問わない)
カブトムシ→84mm

となります。是非とも目標に届くような個体が採れたらと思いますね!


というわけで今回は、人生初の"天然オオクワガタ"を求めて、日本国内で現在でも採集報告が多数ある東北地方を周ろうと決めました。東北よりも近い山梨や長野、新潟も考えたのですが、今回は東北地方を選択しました。ネットやGoogleマップなど駆使して下調べを入念に済ませポイントを絞りました。



とは言ったもののネットで調べたところでもちろん情報はほぼ皆無なのでとある方法で7割方周る場所を絞っています。そこから実際にマップなどで現地の雰囲気などを見てここを回ろうと判断するような感じですね。この方法でやってる方が大多数だと勝手に思っていますが、せっかく今回見つけたポイントが競争率高くなるのが怖いので言いません💦


ポイントを絞っただけで、もちろんその場所で採集できるかも分からないのでそればかりは実際に狙いの種を採集でもするか、死骸でも見つけるかがないと判断しづらいものはありますね。これは離島なんかでも同じことが言えますね。


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新潟や東北地方はライトトラップが禁止されている地域もあるほど昆虫採集に対して良いイメージを持たれていない人もいます。
現に、
・私有地に入る
・公道で焚く
・立ち入り禁止場所に入る
・民家近くで焚く

…など、近隣の迷惑になる行為をされる方が目立ったためであり、現在禁止されていなくとも今後禁止される地域がさらに増える可能性も高いです。

外灯周りはまだ近隣への迷惑行為が少ない採集方法ではありますが、それでも立ち入り禁止場所や私有地に入ることはトラブルの元になりかねないので(普通に考えて当たり前なんですけどね…💦)、節度を持って採集を行いたいですね。


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話を戻して…
今回は月齢も良かったので、しっかりと成果を得られました。

予め言っておきますが、東北地方もLEDがかなり多くほとんどと言っていいほど蛍光灯や水銀灯がない中、昼間のうちに下見し外灯を周ったところなんとか少しだけ蛍光灯?を見つけたのでそこを中心に回りました。


当方神奈川県に住んでいるので、何時間もかけて車で行きました。

いや〜、東北初めて行きましたが結構遠かったですね😆
茨城や新潟までは何度か行ったことあったんですけどね。道中SA等でご当地のものを食べたりして少しゆっくり行きました。

IMG_0673


こんな場所。
あんまり風景の写真撮っておらず、掲載できるような画像がこれしかありませんでした😅

朝出て夕方着いたので着いた時にはすでに薄暗くなっていました。
当たり前ですが、雰囲気が神奈川東部とは全く違いますね。いい景色です。
現地は最高気温28℃、最低気温15℃と記載されています。


では、外灯周りスタート。



20時前より開始。
この時点で気温20℃、湿度80%弱、風1〜2m。


まずはオレンジ灯とLEDが混じったエリアを見てみるが小虫は飛んでいるものの、甲虫の飛来はなかった。周りは山で雰囲気は良いものの、やはりこういった外灯は飛来は少ないのでは?と感じた。


ここでは残念ながら飛来はなし。
後から考えてみれば、小型のミヤマ♂の死骸があったのでもう一度来てみればいたかもしれない。



その後、場所を少し移動してLEDっぽくない外灯が点在するエリアを見るとここでようやく…

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ここでようやくコクワ♀を数頭見ることができた。


しかし、やはり数が少ない。この時点で20時過ぎ。まだ時間が少し早いのか…と思っていると…

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小型のミヤマ♂を発見!
ここでは初のミヤマで、小さいながら嬉しかった。自分のポイント選びが間違っていなかったことを確信した。

ただ、この時点では今回の目標の一つであるオオクワガタの痕跡がなく、大喜びとは言えないが…笑



また少し移動すると…
小型のミヤマをいくつか発見した。

ちなみに、この時点ですでに何人か別の採集者を見かけており本命の採集は困難を極めそうな雰囲気ではあるが、逆に言えばここでオオクワガタが採れるのではないかという疑惑がより確信に近づいてきた。


外灯上を見上げると、大型のクワガタが飛来して旋回しているのが見えた。少し茶色っぽく見えるのでミヤマ♂のようだ。少しすると足元に落ちてきた。キャッチはできなかったが、すり抜けた手のすぐ真後ろに着地したのが見えたので拾い上げると…
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大型のミヤマ♂!
70mmあるかないかであろう。久しぶりに見た大型のミヤマに興奮が止まらない。ノギスを持ってくるのを忘れたので、計測できないのが残念だ。

すぐ近くにもう一つ電灯があるので足元を探してみると…

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あ…!これは!
この黒光する前胸、大きな頭部は間違いなくオオクワ!
この付近に生息している…!

しかし、残念ながらここでは中型のミヤマ♂とコクワをいくつか発見するのみで"本命"は見つけられなかった。

しかし、死骸を見つけることができたのであとは生きた本命を見つけるのみ…!
ここでさらに探索に気合が入る。


少し場所を移動し…

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トンネルすぐ横のLEDの電灯。蛾が少し飛び回っていたので、足元を探してみるが何もいない。

すぐ後、このLEDの回りを飛び回る大きめの甲虫の姿が見えたので目で追うと…どうやら黒光するクワガタのメスのようでミヤマ♀のようだった。ミヤマ♂はいくつか見たが、♀は初めてだったので是非とも捕りたい。

数分飛び回って、その後ようやく灯りから4〜5mほどのトンネル入り口に着地した。目で追っていたので着地点ははっきりしている…!

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「はッ…!」
と驚きと喜びが入り混じった声がすぐ横のトンネル内に響き渡った。黒光する前胸、明瞭なスジ。それは紛れもなく"オオクワガタ"の♀…!

ちゃんと翅しまう前に写真撮れました!(笑)
Wildオオクワ採集にとっては地味に大事なことだと思ってます。



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ちょっと見つけた後の感想いいですかね…😅


何より一番驚いているのはこのオオクワが、集まりにくいと言われているLEDに飛来してきたことですね。正直、LEDバカにできないと思ってしまいましたね。いやいや、というかもう手に取った後ず〜っと「LEDバカにできないわ!」って言ってました🤣当分口癖になるかと(笑)


何時間もかけてここまで来てよかったって思いましたね。運が良すぎてこれ以上何も望みません。というか、申し訳なさすぎて望む気になれないっす(笑)

なんかもうこの時点で感無量なんですよね。
♂も欲しいので一応粘りはしますけど、もう正直今回はこれでいいかなって思ってしまいましたね。一応この後も採集記続きます。

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そんなわけで、本命であるオオクワ♀を採集し、喜びもひとしおで、この後も外灯を回るが、正直これ以上望めない雰囲気になってしまった。

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この外灯がおそらくこの日一番の飛来数だった。
他にも小型のミヤマやコクワなど複数見ることができた。こちらのミヤマはリリースしたものの60〜64mmくらいの個体で冠状突起がよく発達した見栄えの良い個体だった。


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トンネル付近の外灯下にて。


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トンネル横の外灯に来た後、トンネル灯りに寄せられたのか?トンネル内にて。



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小型ミヤマが続く。数は見れるのだが、ほぼ♂で小型ばかりだ。


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この個体もかなり大きい。先ほどの個体と同じくらいか少し小さいくらい?この個体はエゾ寄りの基本型だろうか。野外としては珍しくピンホールがある。



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コクワ♂本日最大個体。しかしあっても40mm前半といったところだろう。コクワはいくつか見たが、♂少なめで♀の方が多かった。その♂も30mm以下のものが多かった。
これなら地元の方が大きいの見れるなぁ(笑)



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実は今回、ミヤマ♀はこの個体のみ。結構小さかったので30mmくらいだと思う。


この後は移動して少し標高を下げて外灯周りをすると今度はノコギリを複数見ることができた。

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標高を下げるとノコギリを複数見ることができ、標高によって個体数が大きく変わり、上手く棲み分けしているのが良く分かる。しかし標高が低くなるとそもそも目ぼしい外灯があまりなく採集は困難を極めた。

そして、何度も競合者を見かけていたがここで初めて挨拶できる距離で競合者と遭遇したのでお話しすると、どうやら付近でオオクワ♀を採集した家族連れの方がいたようだ。話しかけたところちょうどオオクワ♀を採集したところだった感じだ。

この方がたまたま現地の方だったようで色々お話ししました〜



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神奈川では滅多にお目にかかれない水生昆虫のガムシ。一瞬、来た!と思ってしまった。川沿いの外灯下にて。



0時を過ぎると、急激に冷えてしまったのもあり個体数が一気に減ってしまった。途中眠気が半端なくなり1.5時間ほど仮眠を取り、朝方もう一度回ることにしたが、朝方はあまりに寒すぎて半袖ではいられないほどでクワガタどころではない感じであった。できればWildのオオクワ♂を見てみたかったが、今回はこれで十分満足な結果であったと思う。

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今回の採集でも持ち帰り個体はごく僅かです。
仕事先の人に頼まれていたミヤマとノコギリ、大型ミヤマとオオクワ♀、コクワ大型ペアのみ持ち帰り他は全てスルー&リリースしています。


新潟や東北地方はライトトラップが禁止されている地域もあるほど昆虫採集に対して良いイメージを持たれていない人もいます。
現に、
・私有地に入る
・公道で焚く
・立ち入り禁止場所に入る
・民家近くで焚く

…など、近隣の迷惑になる行為をされる方が目立ったためであり、現在禁止されていなくとも今後禁止される地域がさらに増える可能性も高いです。

外灯周りはまだ近隣への迷惑行為が少ない採集方法ではありますが、それでも節度を持って採集を行いたいですね。


最後に、振り返りをして終わりたいと思います。

一番最初に採集した大型ミヤマ♂(エゾ型)
→67.0mm

二番目に採集した大型ミヤマ♂(基本型)
→67.4mm

オオクワ♀
→35mm

ノコギリ♂
→61.5mm
♀→最大35mm台

コクワ♂42mm台
♀29mm台


でした!
このご時世の外灯周りにしては大型が採集できたと思いますね😁

また来月も外灯回りに来ますので、一先ずこれで締めたいと思います。
最後に、素晴らしき東北の自然に感謝です‼️



ではでは(・ω・)ノ

どうも、SUYです。


最近は、国産種もできる限り頑張ってブログに書くことにしています。

ボツネタばかりでネタがないので仕方なく!…ではないですよ笑


というわけで、今回は採集記にも登場しました「神奈川県東部標高50m産ミヤマクワガタ」の飼育記になります。


正直、これもボツにしようか悩みに悩んだ末、せっかくなのでちゃんと記事にしようかと思いまして記録をまとめました。

というのも産卵でコケてしまい、たったの一頭しか幼虫が取れないという結果だったのでブログにする予定がなく画像をほとんど撮っていませんでした。どうかご了承下さい💦


まずは種の紹介を…というかその必要はないですよね😅
言わずと知れた国産普通種でありながら、大人子供問わず人気のあるクワガタの一種で本種狙いで採集される方も少なくないです。


山地性の強い種類で、ネットで調べると300m以上の涼しい場所に生息と書いてあるのですが、厳密には標高数十mから生息しており本個体の原産地も標高50mくらいの場所で採集しています。

2021年5月採集記
見ていただければ分かるのですが、正直いると思えるような場所ではないんですよね。採集した時の驚きは半端ではありませんでした。

後ほど6月上旬には♀も37mmの個体のみ採集しまして、産卵させた個体が今回の羽化個体です。


それでは飼育記へ。


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種親♂57mm
自身初の5月採集のミヤマでして、さらに思いがけない場所でのミヤマ採集だったものですからこの時のことは鮮明に覚えています。思い入れも半端ではありませんね!



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種親♀37mm。
Wildですが、上記♂を追い掛けしました。当地は♂のサイズの割に♀がそれなりに大型を見ることができています。また、赤い個体が多い印象があります。


種親は2021年5月29日採集の57mm♂を6月9日に採集した♀に追い掛け。


○2021年8月1日産卵セット

なんだかんだ産卵セット組むのが遅くなってしまい、採集から時間が経ったことで♀の両後ろ脚が欠損してしまった。正直、8月くらいまでは大丈夫だと思っていたが、気温の関係から全体的に活動期間が他産地と比べて早いのだろう。

後々気付いたのですが、当地では5月下旬〜6月中旬くらいにピークを迎えるようで他産地と比べて活動期間が早いと思われますね。

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産卵セットは小ケースにNマットを気持水分多めに加水して下6〜7割固詰めし、残りはふんわり入れて使用した。

産卵温度は23〜24℃と少し高めの設定となってしまったが産んでくれるのか…?


○11月12日割り出し

正直、産卵セット後♀があまり潜っている様子がなく失敗したかと思っていたところ、2齢幼虫を側面から発見したので割出しすることにした。

ミヤマは側面底面から卵が見えることが滅多になく、さらに孵化した幼虫もあまり側面に姿を見せないことが多い。産卵数が少ない場合だと幼虫がいることがわからないこともあるので注意する。

何頭かいそうだと思ったが、探せども探せどもおらず…なんと割出し数はたったのでした(笑)

低地産であろうが、23℃以下でしっかり温度管理しないと産卵しないようである。
今年こそは♀が採集できたら産卵させたいので温度気をつけなければ…

割出した2齢幼虫は、800ccボトルにタイワンシカの幼虫に使用したクヌギ生オガ発酵マットを加水して少し水分多めにしたものを軽く詰めたものに投入した。

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唯一産卵していた神奈川県東部産ミヤマクワガタ2齢幼虫



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少し発酵が進んだ状態の生オガ発酵マット。ミヤマは黒っぽい発酵の進んだマットでなければ育たないと思われがちだが、生オガ発酵マットのような発酵の進んだマットでなくても育つ。案外食性は広めで野外では幼虫が材より得られることもあるようだ。3齢幼虫後期にはあまり栄養を必要としないので、できるだけ成熟期間を長めに取るならば添加の少ないものに変えていくとストレスが少なく良いと言われている。




○2022年5月8日幼虫飼育途中経過
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投入からほぼ半年ですが、この辺りが最大値だったのではと思います。

○2022年秋マット追加

ほとんど食べ上がって糞がかなりいっぱいになったので限界だと思い、古いマットを上7割削り、これまた他クワガタ幼虫に使用済みの同銘柄の生オガ発酵マットを軽く詰めて追加した。この時、幼虫は掘り出さず刺激を与えないようにした。
今思えば、添加の少ないマットにすればよかったと思いますね。


○2023年2月3日蛹化確認

数日前まで前蛹だったので、2月に入ってから蛹化したようだ。野外でも早い時期に羽化するのだろうか?

○3月1日羽化

この日羽化を確認。上翅も閉じているのを確認した。温度18〜20℃程度で約1ヶ月で羽化するようだ。


◯羽化個体紹介

と言っても一頭だけなんですけどね😅


①62.3mm

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・2021年11月12日割出し
→タイワンシカに使用したクヌギ生オガ発酵マットを加水し直して800ccクリアボトルに詰めたものに投入
・2022年秋マット追加
→ボトル内上7割削り同銘柄生オガ発酵マットを加水して追加した(幼虫掘り出しなし10gくらい?)。
・2023年2月3日蛹化確認
2月中蛹化
・2023年3月1日羽化



○飼育まとめ

今回の飼育では、個体数があまりにも少なくまともに飼育考察もできないので、飼育内容や低地産という変わった産地ということもあるので産地考察を交えてまとめとしてお話しできればと思います。



①低地産の飼育下での特徴

16〜20℃での管理で、成熟期は16〜18℃管理だったにも関わらず幼虫期間1年少々でスイッチが入り蛹化した。

あくまで考察だが、低地産は幼虫の成熟までの期間が短めになっており、平均気温が高いためかそのように環境適応してきた説が考えられる。


②低地産の最大サイズ

今回の飼育で一つ分かったことは、生息地の環境ゆえに大きくなれないだけで、低温めでの恒温飼育下では大きくなるのではないかと考えていたのだが、正直大きくなりづらいのではないかという考えに至った。何度も言うが個体数が少ないとはいえ、側面から見た限りでは3齢幼虫頭幅も小さめで幼虫体重も10gちょっとといったところで大きくなる感じがしなかった。また、おそらく基本型やエゾ型は出現しないではないかと思われる。



○最後に

当地のミヤマは神奈川県東部でも少し変わった場所に生息しているミヤマでして、飼育でどのように育つのかかなり楽しみなところはありました。

是非とも今年こそはブリードをしっかりしたいと思います。♀は採集したらすぐ産卵セット組みたいですね。

まあ、まずは♀を採集するところからなんですけどね😅
飼育することで得られることもあったのでやっぱり飼育するのって大事だなと思います。



最後に羽化したミヤマ♂を載せて終了します。

FullSizeRender

本個体、親♂に似て大顎太めで格好良いですよね!
正直この画像だけ見たら62mmに見えないなぁと思います。


正直、せっかくなので神奈川県西部産ミヤマも本気でやってみたいんだよな🤔
それで比べてみたいなぁなんて思ったり笑
あーでも場所がない…😅



ではでは(・ω・)ノ

どうもSUYです。
今回は、サバゲノコギリクワガタ
(サヴィッジノコギリクワガタ)
Prosopocoilus savagei

の飼育記録になります。


昔からよく流通しているアフリカンノコギリの一種です。

本来の読みとしては、"サベッジ"が正しくサベッジノコギリと呼ぶのが良いのでしょうが、本種の入荷の歴史はかなり古く、外国産解禁後すぐに入荷していると思われ、その時の流通名であるサバゲノコギリの名前が浸透していておそらくその名前を使っている人が多いと思います。
最近始めた方なんかはどっちが正しいの!?と思うと思いますが、正直どちらでも大丈夫だと思います。
私も気付けば古い人間ですのでサバゲノコギリと呼ばせていただいていますが、時代の流れと共にサベッジノコギリと呼ぶ日が来るかもしれませんね。ということで今回は両方の名前でタイトルを記載します。


先ほども軽く触れましたが、本種の入荷の歴史は古く、2000年頃から入荷していたと思われます。もちろんですが、入荷当時は今より価格は高かったようです。現在、本種はかなりお手頃な価格で入手可能なため気軽に飼育できるのが良いですね。

オレンジの紋が綺麗かつ鋸歯の厳つい特徴を持った人気のある種類で、以前から飼育してみたいと思っていましたが、2020年にようやくWildを購入し飼育する運びとなりました。

ところが、すぐさまセットを組むも冬だったこともありWild♀の産卵数はたったの一頭で、その個体が♂55mmで羽化し(産卵していないと思って産卵セットを解体すると3齢で一頭だけ出てきてボトル投入後すぐ羽化しました)、終了かと思っていたところ、♀を譲ってくださる方がおり、ブリード継続の運びとなりました。ありがとうございました。
というわけで、ウチで羽化した♂55mmと譲り受けた♀29mmでブリードしたところから飼育記スタートです。

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種親♂55mm。このくらいのサイズだと本種の特徴が出ますね。



それでは、種類紹介へ参ります。

本種は産地によって亜種分けされているという記載が販売元の某通販店のブログにあり、カメルーン南西産はP.s.surturとあります。しかしながら、専門誌BE-KUWAの世界のノコギリ号及び大図鑑にも特に亜種分けはされておらず、それ以外には有力な情報がほとんどなく詳細は不明です。おそらく、亜種分けするべきとする学者もいるのでしょうが、地域差程度で亜種分けするほどの差はないとする学者もいるのでしょう。

しかしながら我々飼育者は、カメルーン南西産しか出回っていない本種であまり気にする必要はないと思いますが…💦




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どこそこ?という方のためにGoogleマップでマーキングしてみました。若干綴りが違いますが間違いありません。

有名な産地としてはNyassosso village(場所は上画像参照)が挙げられ、今回の個体も同様の産地です(おそらくここ以外に入荷している産地は無かったように思いますが…?)。ここは地理を見ると標高800〜900mほどであり想像していたより山地性の種類なのでは?と思われます。

後ほど記載するのですが、標高が1000m近くあろうが元が年間通して高いためかそこまで低温には強くはないようですが…




話は変わり、飼育レコードについては64.6mmです。
と、下書きで打ってるうちに飼育レコード更新されましたね!
新しいレコードサイズは65.4mmです。
レコード個体の情報は「BE-KUWA 85号」に載っているので情報が知りたい方は是非そちらを読んでください。
唐突な宣伝😅



ちなみに野外最大は、新しい方のBE-KUWA世界のノコギリ号に掲載されている66.4mmだと思います。
それまでは、65mmと記載されていました。

こちらは生体が流通しているカメルーン産ではなく、コンゴ産となっていますが、コンゴ産ではないと大きくならないわけではないと思います。


というわけで、今回の飼育ではレコード超えかつレコード登録可能サイズである65mmを目指してブリードしていきます。

いつもなら、もう少し刻んで目標上げていくんですが、実はこのいただいた♀の兄弟で64mmが出ているんだとか…笑
ちょっと期待してしまいます。頑張ります。


それでは飼育記へ。

◯種親
♂55mm×♀29mmのアウトライン。
上記画像の個体が親♂。



◯2021年11月11日産卵セット
最近はノコギリもシカもドルクスもほとんど同じセットです。小ケースに産卵一番を下4cm前後固詰めし、その上に水分少なめに加水した産卵材を置き周りをマットで埋めるオーソドックスなセット。本種は材産み傾向が強いですが、マットに産卵することもあるので、マットも無添加微粒子マットを固詰めするのが良い。アフリカンノコギリということもあり、乾燥めが良いかと思い、若干水分少なめにしている。
追記のような余談ですが、Nyassossoは雨季は普通に雨降るらしいので、通常加水でも良いかなという気がしています。セットを組む季節で変えると良いと思います。(乾燥する冬に組む場合は気持ち水分多めにするとか)


◯2022年1月22日孵化確認
11月中旬にセットを組んだことで、気温が低かったようで、♀がなかなか産卵しなかったのだが、セットから一週間くらいで朝晩の寒さがキツくなってきたので暖房をかけたことで産卵に適した温度になったのか、ようやく産卵セット側面より卵を確認。
温度が低かったので、孵化まで時間がかかったものの無事複数孵化を確認した。

◯2022年4月8日仮割り出し
産卵セット上部にいた2齢初期幼虫3頭のみ割り出しし、余っていたカワラ菌糸800ccへ投入した。というかそのボトルに書いてあった詰め日を見てびっくりしたのだが、11月21日と書いてあったものの見た目上問題なさそうだったのでそのまま使用した。一応、3♂予想だが幼虫が若く判別しづらかった。残りは後日割り出す。

この記事書いててふと思ったんですけど、"仮割り出し"って言葉たぶん私くらいしか使わないと思うんです😅
例えば、側面底面から見て幼虫の総数が分かりづらい材産みの虫なんかだと、材を少し割ったりマットを少し掘ったりすると幼虫の密度や食痕の走り具合で大体の幼虫の頭数や大きさが把握できるんですよね。そうすると、菌糸やマットをどれくらい準備する必要があるか把握できるのでそれに合わせて注文できるというのがこの"仮割り出し"のメリットです。ただ、この趣味も気づけば10年以上やってて、無駄に感覚で分かるからできるのであってあまりおすすめしません…💦


◯5月20日本割り出し
12頭割り出し。振り分けは♂4♀7雌雄不明1。
3齢混じりのため、相変わらず割り出しが遅くなってしまった。合計15頭で飼育開始。

ちなみに、上記の仮割り出しをすると高確率で割り出しが遅くなります。悪い癖ですね笑


◯7月下旬〜8月上旬
♀の早い個体が羽化していた。♀は早い個体で3〜4ヶ月で羽化するようだ。♂はまだ幼虫なので羽化ズレしたようだ。

◯8月中旬♂一頭のみマット交換
若めの3齢6.0gだった。♂も一本返しを試みる予定だったが、このタイミングでこのくらいの体重という目安が欲しかったので交換した。この時は虫が羽化してワインセラーも余裕があったので1400ccへ交換した。

でも実は、交換後マットにコバエが湧きちょっと後悔しました。他の種類で同じ袋のマットを使ったボトルにも湧いていたので、気づかなかっただけで元から入ってたんでしょうね…💦
でも、データというかこのくらいの成長度合いでこのくらいの体重ってことが分かったのでヨシ!

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せっかくデータ取りのためにマット交換したのに全く意味を成さない羽化不全で星となってしまいましたが…😭


◯9月25日♂第一号羽化
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3齢割り出し個体のため早めの羽化となった。蛹体重4.6g→目測55mm(羽化個体紹介でしっかりと計測した情報載せます)。元から綺麗な種類ですが、羽化したてはさらに明るく綺麗な体色をしている。すでに♀は羽化して数ヶ月経っている。

この個体、ラベルに♀って書いてありますけど、♂って書いてあって♀で羽化した個体がいるのできっとラベル貼り間違えたんでしょうね。滅多にないことですが気をつけますね。



◯10月中旬大型個体蛹化
カワラ菌糸に投入した3頭の内、一頭だけ無事蛹化まで辿り着くことができた。途中側面から見えていた時点でかなりの大型を確信していた。蛹体重6.8gとかなり大型だが、65mmは超えられないだろうと思う。

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現時点で他の個体は蛹体重4.6gで55mmと57mmが羽化しており、2.2gの体重違いはかなり大きいと思います。この時点で、2022年レコード号が発売し、予想通りサバゲも更新され65.4mmとなったのでこのサイズを0.5mm超え
るのはかなり厳しいかと思えますね。ちなみに新レコード個体の蛹体重は7.15gらしいのでこの個体は厳しいですね。



◯11月13日♂最大個体羽化
一つ前に記載した♂の最大個体が羽化した。
大型であると思われ、サイズ計測が楽しみである。
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◯羽化個体紹介

あまり産卵数が多くなかったので、個体数は少ないが羽化個体をアップしていきます。

また、先日携帯を変えまして、撮影にまだ慣れていないので当分画像が安定しないことをご了承下さい。




①55.6mm
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2022年5月20日割出し
3齢頭幅8.7mm4.1g→生オガ発酵800ccへ
9月9日蛹確認→4.6g
→羽化
管理温度:20〜24℃

前胸の真ん中が赤い個体ですね。特に珍しくはないと思いますけど。
サイズに関しては、3齢割出しだとこれくらいのサイズに落ち着くようですね。



②57.6mm
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2022年5月20日割出し
3齢初期→生オガ発酵マット800ccへ
9月蛹化確認→4.6g
→羽化
管理温度:20〜24℃

こちらも3齢で割出しし投入した個体ですね。
やはりこれくらいのサイズに落ち着くみたいですね。


③59.4mm
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2022年5月20日割出し
2齢中期→生オガ発酵マット800ccへ
2023年1月21日羽化
管理温度:17〜24℃


2齢割出し個体のためか少しサイズが伸びましたね。
飼育数が少ないのであまり参考にはなりませんが、大型個体を狙うのであれば初齢か2齢で割出し単独飼育するのが良さそうな雰囲気ですね。




④64.1mm
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2022年4月8日割出し
2齢初期→前年11月手詰めの古いカワラ菌糸800ccへ

10月中旬蛹化→6.8g
11月13日羽化

こちらが今季最大サイズ64.1mmでした。
3頭カワラ菌糸に投入したうちの唯一の生存個体で、見事に大型に育ちました。途中側面から見えた姿でかなり大型なことは確信していました。








代表個体のみ紹介

・29.7mm
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2020年5月20日割出し
3齢→生オガ発酵マット430ccプリンカップへ
8月羽化





27.9mm
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右の個体(左は上記個体と同一)

2020年5月20日割出し
3齢→生オガ発酵マット430ccプリンカップへ
8月羽化




◯飼育考察・まとめ
本種はとにかく羽化までかかる時間が短く、しかしながら低温にしたところで成長が悪くなる気もするので、その短い幼虫期間の中でいかに幼虫の成長ステージに合わせた最適な温度での管理を行い飼育できるかが重要だと考えられる。


本種としては大型にあたる64mmを羽化させることができた。2齢幼虫からカワラ菌糸に投入し、そのまま羽化まで交換せず管理をしたことで幼虫に交換時のストレスを与えることなく羽化まで持っていけたことがよかったと考える。


実際に羽化した個体を見ても、今回の飼育内容を見ても改善点がいくつか挙げられ、更なるサイズアップができるのでは?と考えている。


考察①一本返しでは容量が足りなかったのでは?

800ccでの一本返しで、特に暴れなどは見られず素直に蛹室を作成してくれたものの、ボトルを掘ってみると食痕が多く、800cc一本では容量が足りなかった可能性も考えられる。次世代で1400ccでの飼育も考えたい。


考察②カワラ菌糸での飼育は良さそう

今回はカワラ菌糸での飼育で64mmを羽化させることができていることから、本種においてカワラ菌糸での有用性は高いと考えている。

ⅰ)温度の工夫
→ここでは詳しく説明しないが、温度帯によって羽化までかかる時間が大きく変わるが、ある決まった温度帯では成熟の進み具合がそこまで変わらないことが分かった。成長タイミングによって温度コントロールを行うことで更なるサイズアップが狙えるのでは?と考えられる。そもそも、カワラ菌糸では劣化の観点から一本返しをするのは難しいので、温度や投入タイミングなどを少しずらしたい。

ⅱ)飼育個体数の母数があまりに少ない
→カワラ菌糸に投入した個体では無事羽化まで辿り着いたのがたったの一頭だったので複数飼育すればさらに大型が出る可能性もあるだろう。
まあ、これに関しては当たり前のことなんですけどね笑

ⅲ)新しめの菌糸での飼育
→今回飼育した個体は詰めてから半年近く経過したカワラ菌糸を使用したので、新しめの菌糸ではどうなるのかも気になるところ。ちなみに蛹化する頃には菌糸が劣化してそのままの蛹室では羽化させられない状態であったことから考えてももう少し新しい菌糸の方が良さそうだと感じた。


◯飼育まとめ

・成虫
厳密には分からないが16〜28℃で飼育可能。適温は18〜23℃くらい?
寿命は半年前後。

・ペアリング
後食開始すればブリード可能。♂の気性が荒いのと、大顎が鋭いので♀殺しは頻発するようだ。顎縛りして♀が殺されないよう工夫した方が無難。もし、そのまま同居させる場合は同居期間はできるだけ短めに取った方が安全。

・産卵
産卵は主に材に行う。柔らかめの材を適度に加水したものをマットで埋めるセットが良い。微粒子無添加マットを固詰めするとマットにも産むこともあるようだ。アフリカのノコギリではあるが、水分はそこまでシビアにならなくても良い。温度は20〜25℃が良い。

・割出し
温度次第だが卵は1ヶ月弱で孵るので、セットから2〜2.5ヶ月を目安に、またはセット後1ヶ月程で♀を取り出しその後1〜1.5ヶ月程で割り出すと初齢及び2齢になっている可能性が高い。

・幼虫飼育
割出した幼虫はプリンカップ及びボトルで個別に飼育する。
発酵マットやカワラ菌糸で飼育すると良い。しかし、本種の幼虫は小さいのでカワラ菌糸では菌糸に巻かれてか落ちてしまう個体が多く無難に飼育するのであればマットが良い。マットより菌糸の方が成長は早く良いようだ。
幼虫は温度次第だが2齢投入で♀で3〜6ヶ月。♂で4ヶ月〜1年弱ほど。飼育温度は16〜28℃が良い。低いほど羽化まで時間がかかり高いほど羽化まで早い。温度が高ければ小型になりやすくなる。しかし、温度が低いからといって大きくなりやすいわけではないようだ。

・蛹化羽化
他種と特に違いはない。蛹室作成後半月〜1ヶ月弱で蛹化し、蛹化から1ヶ月弱で羽化する。蛹室の状態が悪ければ人工蛹室に移すと良い。

・休眠
羽化後半年ほど休眠するようだ。日本のノコギリクワガタに比べれば乾燥には強い気がするが、休眠中は乾燥に注意して適宜加水しながら紅葉樹系のマットで管理する。



◯最後に

サバゲノコギリは野外からの入荷もあり流通量も多く、ギザギザのいかにも厳つい見た目と派手な色は文句のつけようがない格好良さを誇っていますね!

また、癖のあるアフリカンノコギリの中では飼育もしやすいので本当におすすめのクワガタです!

もちろん最低限の温度管理は必要ですが、初心者にもお勧めできる一種であると思います。

最後に今季飼育最大個体64.1mm

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左64.1mm、右59.4mm
こう見ると64mmが圧倒的に大きいのが分かりますよね!

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レコード更新はできなかったものの、大型である64mmの壁をなんとか越えることができました。ここからさらなる大型化を目指して飼育継続していきたいですね!
最終的にはレコード登録ラインである66mmを目指して頑張ります。





ではでは(・ω・)ノ

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