どうも、SUYです。

今回は、
マクレイコクワガタ
(Dorcus macleayii)
の飼育記録となります。


ただ、幼虫購入のため本種において一番情報が欲しいであろう産卵に関する記載はほとんどできません。それは冒頭でお伝えさせていただきますm(_ _)m

本種の産卵について情報が欲しかったのであればブラウザバック推奨します…💦




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まずは、マクレイコクワガタの紹介をしていきましょう!


本種はアジア大陸の標高2000〜2500m前後に広く生息するいわゆる高山種で、年間を通して涼しい場所(もはや寒そうですが)に生息しています。

主な生息地(産地)としては、中国のチベット自治区や雲南省、ミャンマーのカチン、インド北東部などが有名で、各所から少ないながらも生き虫も入荷しています。


コクワガタの和名の通り、形状は日本のコクワガタに似るものの♀の形状をみると、コクワガタとは違うのがわかります(これは人によるところですが)。

そうそう、前から疑問に思ってたんですけど、ネパレンシスとかドンキエールとかどう考えても"コクワガタ"じゃないですよね😅
そもそも、日本のコクワガタも国内のクワガタの中ではどちらかと言うと中型の部類なんですよね(笑)
和名付けた人ってどういう感覚でつけたのかすごい疑問なんですよ(笑)



当方の感覚としては、国産で言うとコクワよりもヒメオオクワに近いのかなぁと思いますね。
(脚が長いところとか♀の前胸側縁後部の抉れとか)

また、産地によって若干上翅に色彩変異があると言われているようですが、当方としてはチベット産しか見たことがなくはっきりとしたことは言えません。

ちなみに近縁種に"ブラナウンコクワガタ(Dorcus branaungi )"がおり、形状は似ていますが、こちらはマクレイとは違い雌雄ともに全身真っ黒です。



本種の流通に関してですが、外国産Wildとしては珍しく、現地からは灯火採集の他にも材割り採集品(未交尾の新成虫)でも入荷します。近年は材割採集の方が多いかもしれません。


Wild入荷量が少ないのはもちろん、そもそも飼育品の流通量が圧倒的に少ないのですが、その理由に"産卵難易度の高さ"が挙げられると思います。

その産卵難易度においてはかなり高く、産まないクワガタと有名でしたが、今年2021年度BE-KUWAギネスレコードにて本種で獲得された方のコメントを見るとしっかりとハマればコンスタントに産卵させられることができるようです。


ネパレンシスやドンキエール辺りはハマれば爆産するので、何かキーになるものでもあるんでしょうか…?→これに関しては後述しますね。



今回は幼虫飼育からではありますが、そんなマクレイの羽化までのご紹介、及び私の経験則による来期を見据えた産卵セット案を紹介できたらと思います。

その後更新なかったら失敗したんだと察してください(笑)



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◯20207月 幼虫購入

KUWATAフェスでBeetle_on様ブースで販売されていた本種幼虫5頭を購入。確認したところ幼虫は全て初令幼虫で無添加の発酵マットに入っていた。

ここから菌糸投入まで管理温度は2324℃

(この時の私は何でか分からないが温度が高いと成長が良くなると思っていた。もちろんそんなことはありませんよ。)


時系列おかしくなりますが、幼虫購入のためここで記載。


◯2020年6月中〜下旬孵化

無添加一次発酵マットに投入。



◯10月16日 菌糸投入

カワラ菌糸で飼育するのが無難だと思われるが、前ギネスレコード(この時の現ギネス)はオオヒラタケだったこともあり、今回は敢えてオオヒラタケで飼育することにした。どんな種類でも食べられるクセのない樹種と言われるブナオガを選択。

ということで、1本目は大夢ブナ800ccへそれぞれ投入した。1頭のみ3齢に加齢していたが他4頭はまだ2齢だった。ここからは飼育温度18〜20℃。

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3齢♀。後で気付きましたが羽化させるだけならマットでも良さそうですね。


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2齢幼虫。少し高めの温度で管理したものの、思っていたより色艶は良く若齢ならば意外と24℃なら飼育できるようだ。ただ大型化にはもう少し低い方が良いだろうか。若齢の低温管理については要検証か。




◯2021年2月13日 2本目菌糸交換

前回より4ヶ月ほど経過し劣化してきたので菌糸交換を行った。はっきり言って食痕がほとんどなくあまり食べていない印象だった。そのためかあまりにも成長が悪く、掘り出してすぐに感じたのは、"70mmを超えてくるクワガタの幼虫には見えない"という感覚だった。この時の体重は3〜4g前半。

今になって頭幅も測っておくんだったと後悔しました😅

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こちらがマクレイの食痕。当初は変わった食べ方をするんだなと思っていたが今になってみれば明らかに食いが悪いと分かる食痕だった。どうやらエサが合っていないようだ。



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♂幼虫。色艶は特に問題はなくすぐに☆になるような状態ではないのだが、どう見ても70mmどころか50mmすら怪しい体重。



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♀。感想は♂と同じだが、まだマシか…?


◯2021年夏2♀羽化

♀2頭が無事羽化していた。正直もう少し羽化までかかると思っていた。サイズは小さい。




◯9月3本目へ交換

♂3頭を蛹化のスイッチを入れるために交換することにした。ところが、一頭食痕がなかった個体はそのままにしていたところ、無事羽化していたようで、ボトル越しから♂の朱色の翅が見えたのが確認できた。

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交換した♂幼虫。前回からほとんど成長していない。飼育温度ワインセラーにて18℃。







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では、ここから羽化個体紹介していきます。

まだ一頭羽化していないうえ一頭♂が☆になってしまいましたので1♂2♀紹介します。

今回は、羽化さえできればと思い飼育したのでかなり無難な飼育方法ゆえ、サイズも小さいです。


①♂

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・2020年6月中下旬孵化

→プリンカップ120ccで無添加マット管理

・10月16日菌糸投入 2齢

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)1400cc投入

・2021年2月13日菌糸交換 3齢4.2g

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)800cc投入

・10月羽化確認


36mm



最近、撮影用のリングライトを買ったのですがまだ使いこなせていないのがよく分かるような画像ですみません…💦




②♂→☆

・2020年6月中下旬孵化

→プリンカップ120ccで無添加マット管理

・10月16日2齢菌糸投入

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)1400cc投入

・2021年2月13日菌糸交換3齢3g台

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)800cc投入

・9月菌糸交換3.7g

→ブナオガAGオオヒラタケ550cc投入

蛹室内で☆(菌に巻かれていた?)




③♂→未羽化


・2020年6月中下旬孵化

→プリンカップ120cc無添加マット管理

・10月16日2齢菌糸投入

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)1400cc投入

・2021年2月13日菌糸交換3齢3.0g

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)800cc投入

・9月菌糸交換2.9g

→ブナオガAGオオヒラタケ550cc投入

・12月31日現在幼虫




④♀



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・2020年6月中下旬孵化

→プリンカップ120ccで無添加マット管理

・10月16日菌糸投入 2齢

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)800cc投入

・2021年2月13日菌糸交換 3齢4.1g

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)800cc投入

・8月羽化確認



28.2mm





⑤♀


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・2020年6月中下旬孵化

→プリンカップ120ccで無添加マット管理

・10月16日菌糸投入 3齢

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)800cc投入

・2021年2月13日菌糸交換 3齢3.2g

→ブナオガ大夢(オオヒラタケ)800cc投入

・9月羽化確認



23.7mm







個体紹介は以上になります。



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〈飼育結果・所感など〉

・もはや、サイズに関しては及第点である。
雌雄ともに購入した個体は全て小型で羽化した。まだ幼虫の個体も☆になった個体も小型である。
→本種の幼虫飼育においての今回の失敗点は、
①飼育温度
②菌種
③ボトル交換タイミング
以上3点が大きいと考えていて…

①飼育温度に関しては、若齢での23〜24℃の温度管理では温度が高く成長不良であった可能性や、菌糸投入後の一貫して18〜20℃管理では標高2500m前後に生息する本種としては高かったのではないかと考えている。
(ちなみに23〜24℃では当方が以前飼育した本土ミヤマが羽化することができなかったことを考えても成長不良になる可能性はあり得ると考えている)

例えば、夏は18℃でも、冬の時期は15℃設定にするとか温度に緩急をつけてもよかったかと思う。

②菌種に関しては、食痕の出方から考えても明らかによく食べている感じではなく、エサが合っていなかったのではないかと考えている。ギリギリ羽化できるようだが、向いていないのでオオヒラタケでの飼育はやめた方が無難だろう。一応、前レコードはオオヒラタケでの飼育であることからも可能だと思っていたが銘柄にもよるのだろうか。やはりここは他種外国産コクワガタや過去には難関と言われたオオツヤクワガタ(Mesotopus属)やオウゴンオニ(Allotopus属)にも有効なカワラ菌糸が無難なのかもしれない。


③ボトル交換タイミング
個人的にはこれも大事なのでは?と考えていて、最初のプリンカップの管理が長すぎた(プリンカップ管理が長いと容器が小さいというだけではなく、ボトルに比べて乾燥しやすいことから考えてもデメリット要素が大きい)ことや、その後のボトル交換も劣化してから交換しており、特に若い時期に悪影響を与えたのではないかと考えている。


以上のことを踏まえて、本種大型化を目指すための要点をまとめると…

①飼育温度は夏場18℃冬場15℃前後。
季節によって緩急をつけるが低くなりすぎない程度。

②使用菌糸はカワラ。産卵考察欄で後述するが、カワラ菌床産卵でもし産卵した場合、同様の銘柄の菌糸を使用したい。現時点では銘柄はまだ決まっておらず要検討。

③容器の交換タイミングに関しては、まだあまり掴めていないのとカワラで食べさせた場合どのように食べ進むのかがまだ分からない点からはっきりとは言えないが、ブナで4ヶ月以上は引っ張りすぎた感があった。やはり3ヶ月を目処に様子を見て交換するのがいいかも。あと、無添加マットでのプリンカップ管理期間も初令期間だけにしたい。





〈飼育内容まとめ〉

◯産卵
幼虫購入のため産卵は経験していないが、購入先の話だと意外にも普通の材で産んだらしい。専門誌BE-KUWAやネットなど色々なところから得た情報から察するに、産卵には材や産卵床はそこまで決まりがないらしく、重要なのは温度・湿度(材の含水量)・産卵タイミングかと(もちろん個体差もあるかと)思われる。また、一度の産卵数はかなり少ないようである。


◯幼虫飼育
・2齢中期及び3齢初期まで無添加マットにて21〜24℃飼育。
・その後、ブナオオヒラタケに投入(19℃)して飼育したもののすべての個体で成長が悪く、あまり食べていなかった印象。


◯蛹化羽化
・温度は17〜19℃にて管理。
一頭☆になったものの、幼虫時代の成長の悪さとは裏腹に特に問題なく小型ではあるが完品にて羽化している。

◯休眠〜成虫飼育
冬の間は休眠するようで、現在(12月下旬)のところ活動していないので来年春まで休眠すると思われる。12月下旬時点での管理温度は16〜17℃。また、ブラナウンコクワも冬の間は休眠して一切活動しなかったので本種の生態もブラナウンとかなり似通っていると思われる。
また、本種の寿命は上記と同じようにブラナウンコクワの感覚で言えば比較的長く2〜3年生きるようである(但し18℃以下の低温飼育した場合に限る)。




〈産卵考察〉
マクレイ産卵が難関なので来季に備えて今のうちに産ませられるような産卵セット内容をいくつか考えておくべきだと思いまして😅
正直、ブラナウン失敗した経験が割と生きてくるのかな?と感じてます笑



本種においては、産卵させることが困難を極めることが予想される。
よって、産卵セット内容を早いうちに考え、準備できるものは準備しておこうという考えである。
いくつか項目にして挙げていく。


①温度
本種は標高2000m以上の場所に生息し、かなり低温下で生活しているものと考えられる。以前、真夏に関東地方の標高1500m地点に行った時に天気は晴れておらず昼間の気温が16℃であったことを考えると(ちなみにその時の天気は曇時々雨でヒメオオクワ♂を採集した場所)、本種の産卵適温もそのくらい低くてもいいのではないかと考える。

②産卵床
書籍での情報や成功例を聞いた話では、カワラ材、カワラ菌床、通常の材どれでも産卵するようである。いずれの方法にしても、一度の産卵での産卵数は少ないようである。また、好みの産卵床には個体差があると考えており、複数試してみるのが無難である。

③水分量
個人的にはかなり重要だと思っていて、乾燥めよりは水分が多い方が良いのではないかと考えている。理由としては、山は雨が多く霧もよくかかるため湿度が高いのでないかと考えているため。

④産卵時期
4〜8月までが勝負だと考える。体内時計がしっかりしており、秋〜冬は産卵しないと思われる。夏に2〜3齢になるように春〜初夏に産卵して夏の気温が高いうちに成長して、初令の弱いうちに厳寒期を迎えることのないように進化したのではないかと思うため。


⑤冬を経験させる
意外と触れられなさそうな内容だが、こういう種類は冬(冬と言っていいのか分からないが)の時期に10℃程度で冬をしっかりと経験させて体内時計を狂わせないことが成功の鍵だと個人的には考えている。

以前ブラナウン飼育した時もしっかり冬に休眠させた結果齧りはしたんですけど、めちゃくちゃ硬いカワラ材のみを使用したためか表面を齧っただけで終わった印象があったんですよね🤔
話は変わりますが、その硬いカワラ材というのはネットに書いてある情報を鵜呑みにした結果失敗した悪い例でございます(笑)



以上のことを踏まえた結果、考えた産卵セットはこちら!


・カワラ菌床産卵(新しめ&熟成の2パターン)

・カワラorレイシor通常の材(水分多めに加水、硬さは硬すぎず柔らかすぎず、材は埋めない)


管理温度:17℃前後
セット月日予定:4月下旬〜8月末まで3回ほど組む


あれだけ長文並べて結局出てくるのこれだけなんですね😅



このブログ記事書いてて思うのは…
「長文書くのも大変だわ読むのも面倒そうだな」という感想です(笑)

後半なんか自分のあーじゃないか、こーじゃないかと考察したことを羅列して載せてるだけで誰も得しなさそうな記事になってしまいすみません…。


最後に大事なことを…
是非、ブラナウンやマクレイ挑戦される方は決して私の記事を鵜呑みにせず、"飼育案の一つ"くらいの気持ちで読んでいただければ幸いです。

長々とすみませんでした…。

以上です。


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非常に綺麗なクワガタですね☺️
是非とも格好良くて綺麗な長歯型を出してみたいですね!頑張ります!


本当小型ですみません💦少しでも産卵に成功させて次世代はもうちょっとまともなサイズ出します…



ではでは(・ω・)ノ


ps.冒頭でも書きましたけど、3年経っても記事の更新がなければ失敗したと思ってください(笑)